第76回医学超音波学会学術大会講演資料

update : 2003/05/26

本資料は、第76回医学超音波学会学術大会(2003年5月9,10,11日、於札幌厚生年金会館、および、ホテルロイトンサッポロ)において行われた特別講演の概要と用いたスライド画像を記録したものである。  (本資料の著作権は著者鳥脇純一郎(中京大学)に属する。無断転用を禁ずる)


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講演概要

情報工学からみたデジタル医用画像の計算機処理

鳥脇純一郎 (中京大学情報科学部)

【1】背景

TV放送50周年を迎え、CADの商用機が登場して(1998年)やがて5年、バーチャルエンドスコピーシステム(VES)の出現(1993年)後10年になろうとしている。一方、計算機は益々高性能化すると同時に小型化、コスト/性能比の向上も続く。最近は遍在性(ユービキタス・コンピューティング)、可搬性(ウェアラブル・コンピューティング)、ネットワーク化が盛んに論じられている。これらを念頭に置いて医用画像処理の可能な発展の方向を概観してみよう。

【2】メディアとしての人体と仮想化 

画像処理といえば現在はディジタル処理を意味する。医用画像の主要な情報源は人体である。すなわち、『人体はメディア』であり、そこには、人体の構成要素と機能に関して、分子レベルから組織、器官、臓器を経て人体全体に至る様々のレベルの情報がある。我々はこれを多様な計測技術で記録し、仮想化人体(virtualized human body VHB)として計算機内に再構成する。診断、治療にはこのVHBとそれに対応する実際の人体(実人体)を統合した利用が期待される。VESの利用はその画像を介して行われる。すなわち、医用画像とその処理が診断・治療のツールとして中核をしめる所以である。 (1)仮想化人体の観察 視点の移動と自由な設定に特色がある(ナビゲーション診断)。VESはその一例である。 (2)仮想化人体と実人体の共用 ナビゲーション診断や外科治療における術中支援においては実人体も併用される。VESによるガイド付き内視鏡システムや手術ナビゲータはその例であり、それは混合現実技術(mixed reality)の応用である。 (3)VESの変形 VESの自由な変形は手術のシミュレーション(バーチャル手術)の自由な利用を可能にする。バーチャル手術は、術前、術中、術後のそれぞれにおいて多様な可能性を持つ。ナビゲーション診断とバーチャル手術の結合により、最適な診療の選択と各手法の評価が得られる。

【3】計算機支援診断 

(CAD)CADは上記のVHBに関する判断、決定の計算機支援である。それは、今後以下の三つの方向に分けられて急速に発展すると思われる。 (a)専用CAD:目的、機能を明確に規定したCAD。肺がんや乳がんのスクリーニングを目指すCT像やマンモグラムのCADはこの代表例である。 (b)汎用CAD:診断の入り口において、目標を特に限定することなく、VHBにおけるあらゆる異常を疑われる知見を検出するCAD。現在はまだ実現例がない。 (c)日常CAD:一般の人々や医学関係者でも自分の専門から比較的遠い分野における基礎的な健康状態のチェックに使われる。現在のECG検査、血液検査などに近い使われ方のCADである。

【4】むすび

 個人記録とVHB VHBは個々の具体的な人体と厳密に対応する。高精度の自分の複製であるVHBを各人が携帯できることは決して夢物語ではない。それは、まさしく、ユービキタス、ウェアラブルなVHBの利用である。 参考:ほぼ同時期に行った筆者の下記発表も本稿に密接に関係した内容を持つ。

1. 鳥脇純一郎:画像処理と診断支援(CAD)の40年、名古屋大学最終講義記録、2003年3月6日、本ホームページ参照。
2. 鳥脇純一郎:医用画像のパターン認識における研究課題の展開について、画像電子学会第202回研究会資料、2003.5.31

第78回医学超音波学会大会概要に加筆(2003.5.24)


本図集は,第76回医学超音波学会学術大会(2003年5月9,10,11日、於札幌厚生年金会館、および、ホテルロイトンサッポロ)において行われた特別講演の概要と用いたスライド画像を収録したものです.ネット上での閲覧は自由ですが,それ以外の使い方はしないで下さい.

図に関する誤り,内容に関するご意見などがありましたら,すべて鳥脇純一郎< toriwaki@nuie.nagoya-u.ac.jp >までご連絡ください.

『著作権』
収録されている図の著作権は,

第76回医学超音波学会学術大会講演図面


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